大人の中耳炎で気をつけること
中耳炎は主に鼻水をすすったり、かむ力が強すぎて、耳に細菌が飛んでいき起こると言われます。
成人は本当なら解剖学的、免疫学的にも中耳炎になりにくくできています。しかし、なりにくいはずの大人が中耳炎になっているという事は、その時点で子供の中耳炎とは異なる注意が必要です。
例えば、中耳炎の最中の耳鳴、耳閉の出現、もしくは、中耳炎が見た目上は治ったのに、耳のつまり感、耳鳴が治らない場合。これらの症状は、難聴のサインです。難聴の兆候を調べるのは聴力検査です。
中耳炎後もしくは中耳炎の最中の難聴で、耳鼻科医がもっとも恐れるのは、中耳炎の内耳波及、すなわち内耳炎です。この場合、できるだけ1週間以内に、ステロイドやビタミンB12、循環改善剤の投与を行わないと、聴力そのものの改善が厳しくなり、早期治療しても耳閉、耳鳴、難聴が後遺症として残存する事があります。聴力検査の程度によっては、早期にこれらの薬を開始し、増悪すれば高次医療機関を紹介します。
同じく、大人に多いのですが、当初は通常の細菌性中耳炎、外耳炎だと思っていたのに突然、顔が動かなくなる事があります。ウィルス性のハント症候群という難治性の顔面神経麻痺です。こうなると大変で、内耳炎と同様に高次医療機関を紹介します。早期には細菌性、ウィルス性の見極めは困難であり、悪化することの予測は難しいのですが、耳内所見や聴力検査など諸検査を行うことで前触れを察知し、予測がつき早期に対処が可能になります。
この他にも、様々なケースがあり、それぞれに原因を考えていかなければなりません。
私のことを信じてくださる方の受診をお待ちしていますが、人と人ですから相性もあります。不安、不満のある方は、他院耳鼻科も受診して頂き、是非自分に合う耳鼻科を探して下さい。
医療はお互いの信頼関係が大切だと常々思っています。