救急医療体制
奈良県でまたしても不幸な出来事が起こったのは,皆さんもご存知のことかと思います。妊娠3ヶ月の女性が,夜中の3時にスーパーの駐車場に何で友人といたのかはともかく,救急対応に問題があったことは否めません。奈良県は周産期医療センターを有していない全国で6つしかない県の一つであり,これまで大阪という大都市によって,周産期医療の手薄さを補ってもらっていた感があります。しかしながら,昨今の医者不足により,救急体制の甘さが今更ながら露呈したと考えられます。また,報道は必要だとは思いますが,マスコミによる興味本位の医療事故報道などで,なまじ瀕死の状態の胎児を引き受けると,何かあった場合に責任を負わされるということで,及び腰になった医療機関もあったかもしれません。
でも,ほとんどの勤務医師たちは,日夜,患者さんのために,自分の私生活を犠牲にしても,働いているということを,皆さんに知っておいていただきたいのです。私もかつてその一人であったことを,誇りに思っています。