学校検診雑感(鼻出血止血法)
今年も学校検診が終わりました。
開業以来,滝尾小学校,滝尾中学校,森岡小学校の3校を担当させて頂いて3年目になります。
アレルギー性鼻炎の児童,生徒が多いのは,これまでの傾向と変わりないところで,鼻内所見で厳密に検診に引っ掛けてしまうと,クラスのほとんどが引っかかってしまうような状況ですので,事前の保護者アンケートで症状があり,かつ鼻内所見のひどいものを,所見ありとしています。
今年の新しい傾向として「鼻出血」を訴える児童,生徒が多かったことが挙げられます。
子供の鼻出血はアレルギー性鼻炎を伴っていることが多く,また従来から行われてきた迷信のような鼻血の止め方(止血法)で,よけいに繰り返すようにしてしまっていることが多いのです。
間違いその1:後ろ頭や首をたたく→まったく意味がありません。
間違いその2:鼻の上の方(目に近い硬いところ)を押さえる→ここは鼻骨という骨があるところで,鼻血が出ている場所(出血点)を押さえることにはならず,意味がありません。
間違いその3:ティッシュを詰める→あまりにも出血がひどい場合にはやむを得ませんが,ティッシュを詰めると出血点が周囲に広がり,別の場所から後日出血を繰り返す場合があります。ティッシュは鼻の粘膜にとっては硬いものなのです。。
間違いその4:上をむく→血液を飲んでしまいます。絶対ダメです。
では耳鼻科専門医がすすめる正しい止血法とは。。。
基礎:鼻血の99%は鼻のすぐ入り口の真ん中の壁(キーゼルバッハ部位)から出ています。ですから,
正しい止血法その1:まず落ち着く。
正しい止血法その2:アゴをひいて下を向く。
正しい止血法その4:小鼻(鼻の一番膨らんだところ)を,人差し指と親指で両鼻をぎゅっと摘む。この際,上の方を上辺だけ摘むのではなく,深い位置からつまむ。それでも鼻から出るようなら,摘み方があまい。
正しい止血法その5:鼻がしっかり摘めていれば,3分間摘んでいれば基本的には止まるはず。3分経っても出る時は,もう5分追加。きちんと摘んでいても口から回り込んで出てくる場合には,飲み込まずにティッシュか,洗面器にこれを出す。これが大量であれば,医療機関受診。
首藤耳鼻咽喉科 首藤純 大分市 日曜診療