めまい(急性期)の患者さんへ
めまいが急に起こったらどうしますか?
本当にひどい場合には,嘔吐を反復し,歩けないほどの状態になることもあります。
この状況を急性期のめまいと言います(めまい発作とも言います)。
めまい,嘔吐で通常の生活が送れない状態になった場合,耳鼻科の立場からすると,一番心配なのはやはり脳から来るめまいです。すなわち脳出血,脳梗塞(脳溢血)などのことです。耳鼻科のめまいよりも,脳から来るめまいの方が重症であることが多いからです。
初期の軽度の小脳梗塞などは耳鼻科的なめまいとの鑑別が困難なこともあります。
医療の順番として,まず重症のものでないかを判定し,しかる後に,それ以外のものでないかを判定するべきと考えます。
つまり,慢性的なめまいではなく,急性期のめまいは,まず脳神経外科などで脳が原因でおこるめまいでないかをチェックし,その後に,耳鼻科的なめまい(多くは三半規管の異常から来るめまい)をチェックするというのが,効率的な順番であると考えます。
あまりにもめまいがひどければ,脳から来るものであれ,耳鼻科的なめまいであれ,いずれにせよ入院なども考慮しなくてはいけません。そうなると,クリニック(入院施設を持たない医院)での治療は困難となり,結局高次医療機関に送らねばなりませんので,二度手間になるよりは,入院施設をもつ脳神経外科などの受診をし,まずめまいの急性期を改善しましょう。
その後に,耳の症状(耳のつまり感,聴こえにくさ)などが残存すれば,早期に内耳性めまいを疑い(突発性難聴に伴うめまい,メニエル病)など,頭を動かすとめまいが起こるのであれば三半規管の中の耳石異常である,頭位めまい症などを考慮し,耳鼻科の受診を行うのが肝要ではないかと考えています。また,難聴とめまいがしつこいのであれば,聴神経腫瘍(耳と脳をつなぐ聴こえとめまいの神経の腫瘍)を疑い,脳神経外科でのMRIを紹介することも必要でしょう。